セファランチン
セファランチンは、センブリエキス、グリチルリチン酸ジカリウムと比べると、すべての育毛剤に含まれているわけではなく、多くのアイテムの中でも含有しているのは一部にとどまっています。なぜかという理由は後述するとして、まずはセファランチンがどのような成分であるのか見ていきましょう。
まずセファランチンの大きな特徴として化学合成の成分ではなく、タマサキツヅラフジの根から抽出された天然成分であるということ。
有効成分として抽出される以前からタマサキツヅラフジが民間療法の薬として活用されていたそうです。タマサキツヅラフジのアルカロイド(有機化合物)のみを抽出されたものがセファランチンと呼ばれます。
このセファランチン、なぜ育毛に有効なのか?ということはミノキシジルと似たような歴史をたどっています。元々セファランチンは結核菌の成長を防ぐ効果があるとして結核予防薬として使われていました。他にも民間療法からの流れとして、害虫に噛まれた時、中耳炎になった時といった時の治療薬としても使われていたようです。
さらに、特筆すべきことは、円形脱毛症・粃糠性脱毛症といった薄毛の症状の一種にも効果があるということがわかってきたのです。このメカニズムとして、セファランチン自体の作用として、白血球を増やす、炎症を抑制するといった効果が髪の毛の成長においても有効的なのでは?と考えられています。
■なぜセファランチンは多くの育毛剤で採用されていないのか?
これだけ多数の効果があるセファランチンですが、なぜ育毛剤にはそれほど採用されていないのでしょうか?それは、一般的に薄毛の原因の多数を占めるとされる男性型脱毛症の診療に用いられる日本皮膚化学会が発行した医師のガイドライン「男性型脱毛症診療ガイドライン(2010年版)」において「根拠がないので勧められない」と書かれているからです。
同様にミノキシジルにおいても言及がありますが、そこには「最も薄毛治療に有効」という評価が与えられており、この差は歴然です。
おそらく、人体においてミノキシジルのように有効な臨床実験をしていないということと、明確な副作用がない分、効果が緩やかであり、万人にとって育毛に有効な成分ではないと考えられます。
■セファランチンの副作用
セファランチンの副作用については具体的にこれがあるといった報告はされていません。濃度を濃くした医薬品としても用いられているので、注射をした場合にショック、アナフィラキシーといったことがごくまれに起こるようですが、育毛剤の塗布においてはミノキシジルのように明確に示すような副作用はないようです。
■セファランチンを含んだ市販育毛剤は?
上記のような経緯からか、育毛剤に採用されているケースは、現状で確認されているだけで2アイテムです。その詳細について紹介していきましょう。
薬用育毛剤プランテル
単品:8200円 定期便:6980円(2018年現在)
M字型専用育毛剤と名付けられている、症状に特化した育毛剤です。センブリエキス、グリチルリチンサンジカリウムと共に配合されています。
すべての薄毛の症状ではなく、M字型に特化している根拠がイマイチわかりませんが、セファランチンが元々円形脱毛症・粃糠性脱毛症といった特殊な薄毛症状に有用なことに着目してM字型にも効きそうだということで配合されているのかもしれません。
LPLP薬用育毛エッセンス
定期便:5605円(2018年現在)
2015年に発売された男女兼用の育毛剤です。ガゴメ昆布フコイダンというM-034に似た昆布のエキスによって発毛を促進する他、セファランチン以外にもセンブリエキス、グリチルリチンサンジカリウム、パントテニルエチルエーテルという4つの有効成分を贅沢に配合しています。一つの育毛剤でこれだけの有効成分が配合されているのはそうそう見かけることはありません。
ちなみにセファランチンはタマサキツヅラフジアルカロイドという名称で表記されていますね。価格も5000円台と他のアイテムに比べ割安感があり、今後伸びしろが期待できる育毛剤です。